日本の住宅は、近年まで「つくっては壊す」という新築嗜好の消費型住宅が主流となっていました。「いい家をつくって、しっかりメンテナンスをして、長く大切に使う」社会をめざし、 2009年6月に「長期優良住宅普及促進法」施行されました。
 長期優良住宅とは「長期にわたって良好な状態で循環利用できる質の高い住宅のこと」です。具体的には、耐震性などの基準を満たす新築住宅を「長期優良住宅」として認定し、その後も居住者が維持管理しながら住み継ぐことで、質の高い住宅を増やすのが狙いです。背景には日本の住宅寿命の短さがあるといえます。国土交通省によると、日本の住宅は平均で築後約30年で取り壊され、英国の約77年、米国の約55年などと比べて短くなっているため、「長期優良住宅」を促進することで、住宅寿命を延ばし、住宅費の負担を減すとともに、建物の資産価値を維持し、中古市場の活性化を図ることが目的とされています。国としても、長期優良住宅の普及促進のため、税金の優遇などを実施するほか、さまざまな特典・メリットを政策的にもうけています。

■耐震性
 地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
■省エネルギー性
 必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
■維持管理・更新の容易性
 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
■劣化対策
 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
■住戸面積
 良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
■住居環境
 良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。
■維持安全管理
 建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。
■バリアフリー性
 将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。
■可変性
 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。
■住宅履歴情報の整備
 長期優良住宅に認定された住宅はその建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。