住宅に設置する太陽光発電と蓄電池について

 弊社ではFIT制度(再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるもの)が始まった頃の2009年から太陽光発電システムの販売・施工をしていた実績がありますが現在では積極的な販売をお勧めする事は控えています。

お客様よりご相談される事も多いですがこれらの設備を導入した方が良いか否かはそれぞれのご家庭によって異なるのでしっかりとした情報(メリットとデメリット)を確認していただいたうえで導入の検討をお勧め出来るきっかけになればと思いました。
(この文は2023年8月時点での見解・考えです。今後の社会情勢によってはとらえ方も変わってくる恐れもあります)

現代人の生活に必須となる電気は日を増すごとに単価が高くなりネットニュースやテレビの報道でも話題となることも多く、電気代高騰による対策を考えなければと感じている方が多いかと思いますがその対応策として住宅に設置する太陽光発電システムや蓄電池が救世主となるイメージで紹介されている印象で実際に住宅建築の際に合わせてご相談される方が年々増えていると感じています。
しかし、この電気に関するネットやニュースの記事、太陽光発電システムや蓄電池の省エネ設備の広告は消費者に誤解を与えるような説明をしていると感じることが多々あります。
 何が誤解を与える説明と言うかは太陽光発電システムや蓄電池の導入の結果は対費用効果が一番の成果では無いのですがこれらの設備を導入することが節約につながると思わせるような説明・表現をよく見かけるからです。
 では太陽光発電システムと蓄電池の導入の最大のメリット何のか。それは ①災害時に安心して暮らせる住宅にしたい。②省エネ設備を積極的に取り入れて地球環境に貢献したい。という事が優先順位で検討したい方には自信を持ってお勧めできるものだというご説明が適切ではないかと考えます。
 特に災害時での停電、電力抑制時の計画停電が必要な事態になってしまった時には間違えなく大活躍してくれる設備となるはずです。

これから太陽光発電システムと蓄電池設備の導入を考えている方、すでに住宅に太陽光発電システムの設置がされていて蓄電池の増設を検討されている方、太陽光発電システムの設置時から10年以上経っていてメンテナンスもしながら蓄電池も設置したい方など設置するご家庭の使用状況によってご提案する蓄電池の停電時の動作の違い(特定負荷型か全負担型)を見極め設置する蓄電池の種類を選ぶ必要もあります(単機能型蓄電池・ハイブリッド型蓄電池・トライブリッド型蓄電池)

太陽光発電システム・蓄電池設置のデメリットは「お金がかかる」という事です。
ここ数年でずいぶん値下がりしたとはいえまだまだ高額な設備という事に変わりはありません。2023年現在では太陽光発電システムや蓄電池は日本製・海外製問わず各メーカーで様々な価格で発売されていますが冒頭でも触れましたが設備の導入費用に対して元が取れるというものではありません。山梨県や各市町村によっても設置費に対する補助金もありますがこれは地球環境に配慮した設備の為の設置導入を支援するという意味合いが一番当てはまる表現かと思います。
以前では太陽光発電システムに対する国からの支援が厚くFIT制度もあったので太陽光発電システムメーカーの設計する想定発電量×10年(設備によっては×20年)電気買取り単価固定期間の売電収入+補助金を差し引くと○○年で元が取れるという試算が出来た時もありましたがFIT制度が終了した現在ではそのような試算で導入するというものではなく次のフェーズ(環境配慮を重点に置いた考え)に入ったと考えると受け入れやすいと思います。

FIT制度が終わる時期(2019年問題などと呼ばれる事もあります)が近付くにつれ建築資材メーカーの業界内でよく耳にした(今でもこのような表現をされている事を目にしますが)キャッチフレーズは「今まで高く売れていた太陽光発電システムで作られる電気の売電単価が電力会社から買う電気の単価よりも低くなるので売るよりも自分の家での消費に切り替えるために蓄電池の導入しよう」と勧めるものでした。このような表現を目にする度に??と思います。売電単価が安くなってしまうために設置する蓄電池の導入費用がプラスされた電気を使う事を考えると電力会社から買う電気よりもはるかに高い電気を使っている事になるのですが、まるで蓄電池の設置費用がかかっていないような表現になって説明している記事がほとんどだからです。

今後は車も電気自動車へとシフトされていきます。現時点での住宅設備としての対応は駐車場スペースの近くに車の充電用電源を設置するという事で対応できています。
これからも太陽光発電システムと蓄電池の製品の動向に注視していきたいと思います。